活動の概要
日本男性看護師会は、「自分らしく生きられる世界を創る」ことを目指し、特に医療現場におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策に注力しています。私たちの活動は、ケアを提供する医療介護従事者の安全と尊厳を守り、それによって患者・利用者の皆さんが安心して質の高いケアを受けられる社会の実現を目指しています。
活動のきっかけ・背景
長らく男性看護師は、暴力的な患者対応を担うことが多かった背景があります。そうした中、2019年8月、愛媛県の病院で男性看護師3名が患者に刺殺される痛ましい事件が発生しました。この悲劇を受け、日本男性看護師会は看護師の安全確保を強く訴え始めました。厚生労働部会看護問題小委員会でもこの要望を厚生労働省に提出しはじめました。
私たちの粘り強い働きかけにより、厚生労働省は病院での医療安全研修費用を準備する動きを見せました。
しかし、私たちは特に手薄な在宅医療現場の安全対策こそ急務だと主張し続けました。その結果、2024年には地域医療介護総合確保基金で防犯グッズの購入が可能となる道を開きました。さらに、同年の訪問看護師切り付け事件や広末涼子氏逮捕報道を機に始めた署名活動では、わずか2週間で8,000筆を超える署名が集まり、医療現場の暴力問題が広く社会の注目を集めるきっかけとなりました。
https://www.change.org/patient-hara
主な活動内容
当会は主にオンラインで活動を展開しています。署名活動では、メンバーが日々オンラインで医療現場のカスタマーハラスメント問題について積極的に問題提起を行っています。
また、私たちは年間30回以上、全国の看護協会、看護連盟、医療法人、学会、大学などから講演依頼を受け、看護DXや訪問看護に関するテーマで登壇しています。その際、これらの講演の中で医療現場のハラスメント対策についても必ず触れ、微力ながらも社会全体への啓発活動を継続しています。年に数回はカスタマーハラスメント対策に特化した講演依頼もいただき、この問題への理解促進に努めています。
活動の反響と成果
当会の活動は大きな反響を呼んでいます。特に署名活動では、約30%が医療従事者以外の方々からの応援コメントであり、この問題が医療従事者だけでなく、患者さんや一般市民からも強く支持されていることが明確になりました。
また、この署名活動を元に、医療現場で破損しやすい医療従事者の眼鏡など、保険でカバーされない物品の損害に対する補償を求める声が保険会社に届き、現在、具体的な検討に向けた打ち合わせが進んでいます。さらに、直近では2025年5月27日に参議院厚生労働委員会で当会の活動が公開質問として取り上げられるなど、国政レベルでの注目も集め、具体的な政策への影響力も高まっています。
社会的意義と独自性
この活動は、医療介護従事者を守ることで医療崩壊や人材不足を防ぎ、持続可能な医療提供体制を確立します。ケアする側・される側双方の関係悪化を解消し、患者会と連携しながら医療従事者にも対策を広めることで、安心で質の高い医療が受けられる社会を実現します。
多くの団体が2025年東京都のカスハラ条例施行後に動き出す中、私たちは長年にわたりこの問題に取り組んでいます。単なる研修提供に留まらず、政策提言を通じて法制度や基金の活用を促し、さらには民間企業との連携による保険や防犯グッズといった新たなサービスを創出している点が、私たちの最も強力な独自性です。